不勉強ながら、成長ホルモン(GH:growth hormone)産生下垂体腺腫がT2WIで低信号を示すことを知りませんでした。
その結果、GH産生腫瘍を疑われていたのに、「目の前にある下垂体病変はとんでもなくT2WIで低信号だけどPitNETでいいのか??」と困惑した悲しい経験をしたので知識を共有したいと思います。
成長ホルモン産生下垂体腺腫/PitNETの参考症例
- T2WIでlow (or very low)の信号を示すことがある。
- 好酸性の顆粒が密に存在する場合に低信号になると考えられている。(疎な場合は低信号にはならない)
- 40%のGH産生腫瘍がT2WIで低信号であった報告あり。
- GHによる骨の性質変化により鞍上部より鞍下部に進展する傾向がある。
症例1 51歳女性

a: (T2WI)脳実質や正常下垂体より低信号
b: (CE-T1WI)
症例2-5

いずれもGH産生腫瘍 (⚪︎がPitNET)
a: T2-hypointense, b:T2-hyperintense, c:T2-isointense, d: T2-hyperintense (※dは造影)。
GH産生PitNETはもちろんT2WI lowだけでなく、色々なvariationがある。
症例6

下方進展はGH産生下垂体腺腫/PitNETで認められることのある所見。トルコ鞍底の骨性状の変化が原因ではないかと考えられている。
参考文献など
【症例1】Taro Tsukamoto, et al. 「Imaging of pituitary tumors: an update with the 5th WHO Classifications—part 1. Pituitary neuroendocrine tumor (PitNET)/
pituitary adenoma」Japanese Journal of Radiology (2023) 41:789–806【症例2-6】Lulia Potorac, et al.「Pituitary MRI characteristics in 297
acromegaly patients based on T2-weighted sequences」Endocr Relat Cancer
. 2015 Apr;22(2):169-77